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静岡県の盛土規制法が2024年に改正!宅地造成や許可手続きの流れも解説

不動産の法律、宅建業法に関して

出石 世一郎

筆者 出石 世一郎

不動産キャリア15年

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土地の盛土に関する規制が、令和六年より静岡県内で大きく変わりました。近年、盛土を原因とする重大な災害が発生し、多くの方が不安や疑問を抱えていらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、なぜ盛土規制法が改正されたのか、その背景や新たな規制内容、静岡県内での具体的な運用状況について、分かりやすく解説します。これからの宅地利用や事業活動にどのような影響を及ぼすのか、知っておくべき情報を丁寧にお伝えいたします。

盛土規制法とは何かと改正の背景(静岡県における施行の経緯)

宅地造成に伴う土砂災害を防ぐため昭和三十六年に制定された「宅地造成等規制法」は、主に市街地でのがけ崩れ防止を目的としていました。その後、令和四年五月二十七日に、法令名を改め、大幅に規制対象を拡大した「宅地造成及び特定盛土等規制法」(通称:盛土規制法)が公布され、令和五年五月二十六日に施行されました。 特に用途を問わず、宅地・森林・農地などあらゆる土地で危険な盛土を対象とし、全国一律の基準で包括的な規制を行うことが特徴です。 また、施工に関する政令では、許可不要な工事や技術的基準、中間検査・定期報告制度に関する規定が整備されています。

静岡県においては、令和七年五月二十六日から盛土規制法が正式に運用開始されました。これに伴い従来の「盛土条例」は「盛土環境条例」として改正され、災害防止については盛土規制法、生活環境の保全については盛土環境条例により規制される形に一本化されました。 この運用開始は、熱海市における土石流災害を契機に、不適切な盛土への対応を県が強化する背景として実施されたものです。

以下に、盛土規制法の主要な事項を表で整理しました。

項目ポイント実施時期
法律の全面改正用途を問わず危険な盛土を全国一律に規制公布:令和4年5月27日/施行:令和5年5月26日
静岡県での運用開始盛土環境条例改正および規制統合令和7年5月26日から
施行根拠政令による技術基準整備、中間検査・定期報告制度導入令和4年12月公布政令、令和5年施行

改正内容のポイント(静岡県 盛土 規制法 2024年 改正点)

改正された「宅地造成及び特定盛土等規制法」(以下「盛土規制法」)では、静岡県内での安全な盛土対策を強化するため、三つの重要なポイントが設けられています。

主な改正項目内容目的
規制対象の拡大と「スキマのない規制」宅地や農地、森林など用途を問わず、危険な盛土を包括的に規制対象とし、土石の一時堆積や農地での造成も許可対象に含みます土地用途の違いによる規制の抜け穴を防止し、すべての危険な行為をカバーするため
安全性確保の強化地形や地質条件に応じた許可基準を設定し、定期報告や施工中の中間検査、工事完了時の検査を義務付けます計画段階から完成まで、盛土の安全対策が確実に行われることを担保するため
責任・罰則の明確化と強化土地所有者および工事の原因行為者に安全維持責任を明文化し、無許可や命令違反には懲役3年以下・罰金1,000万円以下・法人には最大3億円以下の罰則を設定違反行為への強力な抑止力を確保し、安全義務の徹底を図るため

こうした改正により、用途を問わずあらゆる盛土に対し均一で厳格な対応がとられるようになりました。具体的には、農地や森林など従来は除外されがちだった造成行為もすべて許可制とされ、施工の安全性が計画段階から完了段階まで厳しくチェックされます。さらに、法的責任や罰則が強化されたことで、違反に対する抑止力が飛躍的に高まっています。

静岡県内での運用開始と各市町への適用状況

令和5年(2023年)5月26日に施行された「宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)」は、静岡県内では令和7年(2025年)5月26日から運用が開始されました。伊東市では市域全域が規制区域とされ、それまで伊東市長の許可が必要だった造成工事(農地等を含む)について、県知事の許可へ変更となっています。申請先は伊東市ではなく熱海土木事務所用地管理課で、審査は規模に応じて沼津土木事務所または県本庁盛土対策課が担当します。

静岡市においても同日、令和7年5月26日から運用が開始され、静岡市域はすべていずれかの規制区域(宅地造成等工事規制区域または特定盛土等規制区域)に指定されています。規制対象となる盛土・切土の規模や手続きの詳細は、電子申請や「盛土110番」による通報制度により運用されています。

富士市についての直接の情報は確認できませんでしたが、静岡県全域で規制区域の指定と運用開始が行われていることから、富士市でも同様の対応が進められていると考えられます。

市町名運用開始日特徴・申請先等
伊東市令和7年5月26日市域全域が規制区域。申請は県知事へ、審査は熱海土木事務所など
静岡市令和7年5月26日市域全域を規制区域指定。電子申請、通報制度「盛土110番」導入
富士市(推定)おそらく令和7年5月26日県全域の運用に準じた対応が推進されている可能性

また、静岡県では令和4年(2022年)7月1日から独自に「静岡県盛土等の規制に関する条例」を施行しており、盛土等の一定規模(面積・土量)に達する場合は県の許可が必要となる体制を整えています。この条例と国の盛土規制法との連携によって、県内での対応体制が強化されている状況です。

規制に関する県内市民・事業者向け対応策と手続きの概要

静岡県内では、宅地造成及び特定盛土等規制法(通称「盛土規制法」)が令和7年5月26日から本格的に運用されています。これに伴い、規制区域が指定された後は、一定の規模以上の盛土や切土を行う場合、許可または届出が必要となります。例えば、盛土によって高さが1メートルを超える崖が生じる場合や、面積が500平方メートルを超える場合などは対象となります。静岡市では、これらの事案を電子申請で受け付けており、都市計画法に基づく開発許可を受けた場合は「みなし許可」とされ、特定の条件下で中間検査や定期報告のみが求められます。さらに、通報用の「盛土110番」も設けられ、不審な盛土行為に対して迅速に対応できる体制が整っています。

項目内容備考
規模基準盛土高さ1m超/切土高さ2m超/面積500㎡超など静岡市では詳細を公表
申請手続電子申請対応(許可・届出)都市計画法の開発許可はみなし許可
通報体制盛土110番(専用ダイヤル)不法・不審な行為に対応

伊東市・富士市でも、同様に令和7年5月26日から盛土規制法の運用が始まっており、申請窓口は静岡県盛土対策課を経由する体制に変更されています。伊東市では以前は市長の許可が必要でしたが、現在は農地等を含む全市域で静岡県知事への申請に切り替わり、申請先として熱海土木事務所や沼津土木事務所など対応が規模に応じて分かれます。富士市でも県知事への許可が必要で、専用の通報窓口「盛土110番」が設置されています。また、「盛土環境条例」による環境面の規定も整備され、県生活環境課が担当しています。

市町村申請窓口備考
伊東市熱海土木事務所(沼津・本庁へ審査分担)農地含む全域を県知事許可へ
富士市富士土木事務所維持管理課盛土環境条例と連携

県では、相談窓口として「盛土対策課」を設けており、相談や資料請求、電子申請に関する案内等に対応しています。住民意見募集(パブリックコメント)の制度も設けられており、条例や規則の制定や改正時には住民の意見を反映する機会が提供されています。また、通報窓口を通じて、不適切な盛土を早期に発見し是正する監視体制も構築されており、市民・事業者ともに安全に手続きを進められるよう整備されています。

まとめ

盛土規制法は、静岡県で発生した深刻な土石流災害をきっかけに改正され、令和六年より新たな規制が始まりました。今回の改正では、用途や規模を問わず全ての盛土地が規制対象となり、安全性確保のための中間検査や定期報告も強化されています。また、各市町ごとに具体的な運用内容が異なるため、申請や手続きについては必ず最新の情報を確認することが重要です。今後も法の運用とともに、安心して暮らせる地域づくりが期待されます。

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