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マンションの専有部分リフォームは管理規約を確認!手続きや注意点を知って安心施工

マンションに関して

出石 世一郎

筆者 出石 世一郎

不動産キャリア15年

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マンションのご自宅をリフォームしたいと考えたとき、「専有部分なら自由に工事できる」と思われがちですが、実は管理規約によって様々な決まりごとが定められていることをご存知でしょうか。「どこまで手を加えてよいのか」「どのような手続きが必要なのか」といった疑問は、マンションの特性ゆえに多くの方が抱える悩みです。この記事では、マンションの専有部分のリフォームに関する管理規約上のルールや注意点、実施する際の正しい手続きについて分かりやすく解説いたします。

専有部分と共用部分の区別とリフォーム可能範囲

まずは、「専有部分」と「共用部分」との違いを、管理規約に照らして明確におさえましょう。専有部分とは、躯体を除いた壁や天井、床の内側など、区分所有者が単独で所有・管理できる部分を指します。一方、外壁・柱・廊下・エレベーターなどは共用部分として管理組合が責任を持ちます。たとえば、窓枠やバルコニー、玄関ドアの外側などは共用部分であり、専用使用権が認められていることもありますが、自由な改修は原則できません。これは管理規約により定められ、居住の安全・資産価値の維持に寄与しています。ですから、リフォーム前には必ず現行の管理規約で専有・共用の区分を確認することが大切です(内容は、管理規約第7条・第8条や標準管理規約等に準じます)。

区分具体例リフォームの可否
専有部分室内の壁・床・天井、内側の玄関ドア原則可能(ただし管理規約により制限される場合あり)
共用部分廊下・外壁・躯体・バルコニー・窓枠の外側原則不可(管理組合理事会等承認が必要)
専用使用権付共用部分バルコニー等の一部・専用庭・玄関ドアの内側専有部分と誤認されやすいが、原則改変は禁止

たとえば、窓サッシの交換やバルコニーに物置を設置するなどは、外観や構造に影響を与えマンション全体の利害に関わるため、管理組合への相談が不可欠です。一方、室内インテリアの模様替えや設備交換(キッチンや浴室など)は、専有部分内であれば基本的に可能ですが、遮音性や資材の仕様など、規約や細則で制約されている場合があるため注意が要ります。

さらに、「専用使用権」という概念にも留意ください。バルコニーや玄関ドアの内側、窓ガラスなど一見専有部分に見えても、実際には共用部分で「専用使用権」が認められているケースがあります。こうした部分については日常の管理は所有者が行えますが、それでも改修には原則禁止であり、管理規約で明記されていることが多いです。

以上のように、専有部分と共用部分(および専用使用権付き共用部分)の区別をしっかり意識し、管理規約を確認することで、マンションリフォームにおけるトラブルを未然に防ぎ、安心して工事に進めることができます。リズミカルで読みやすい文章を心がけましたので、ご自身のマンションの規約と照らし合わせながらご参照ください。

標準管理規約第17条に見るリフォームの手続き

マンションの専有部分をリフォームしようとしたとき、管理規約の第17条には、申請や届出など、明確な手続きが記されています。まず、専有部分のリフォームで共用部分や他の専有部分に影響を与える可能性がある場合には、理事長への事前申請が必須です。申請には書面あるいは電子的な方法を用いることができます。さらに、申請時には設計図や仕様書、工程表の添付も必要です。([yokohama-mankan.com](//yokohama-mankan.com/management-regulations-article-17/?utm_source=openai), [sin-ei-kanri.co.jp](//www.sin-ei-kanri.co.jp/management/qa/001600.php?utm_source=openai))

その後、理事長は理事会の決議により承認または不承認を決定します。承認が得られた場合は、承認範囲内でのみ工事を進めることが可能です。また、第17条は立ち入り調査の仕組みも含みます。理事長やその代理人は、正当な理由がない限り、工事現場の立ち入りや調査を拒むことはできません。

リフォーム実施後、過失や影響が発生した場合、工事を発注した区分所有者が責任と負担を負って必要な措置を講じる義務があります。さらに、承認を要しない軽微な工事でも、騒音や資材搬入などで他の区分所有者に影響が出るときは、事前の届出が求められます。こうしたルールは、住環境を守り、トラブルを未然に防ぐために重要です。

手続きの種類必要な手続き備考
専有部分の影響あり申請+理事会承認書面または電子申請、設計図・仕様書・工程表の添付が必要
軽微な工事(影響あり)事前届出騒音や搬入など、実施中の影響に関して管理組合が把握できるように
承認後の工事承認範囲内で実施理事長の立ち入り調査が可能。影響が出た場合は責任負担義務あり

届出が必要なリフォームと不要な場合(管理規約上の例外と届出ルール)

マンションのリフォームにおいて、管理規約上の“届出だけで済む軽微な工事”と、“理事会承認が必要な工事”の区別は重要です。まず、玄関錠やクローザーの交換、クロスの貼り替え、塗装、カーテンレールやエアコンの設置・更新といった、建物・共用部分に影響が少ない工事は、届出のみで対応できるケースが多いとされています。例えば、エアコン設置のように専有部分内の作業で、資材搬入や業者の出入りがあっても、届出だけで済むことがあり、こうした工事は「軽微なもの」とされ届出のみでよいとされます。

一方、フローリングの貼り替え、キッチンや浴室設備、配管変更、窓・玄関ドア、間取り変更など、共用部分や他の住戸に影響を与えるおそれがある工事は、理事長への事前申請および理事会承認が原則として求められます。citeturn0search0turn0search10また、理事会の承認を得た上で工事を行った場合でも、工事中に騒音や振動・資材搬入など他住戸への影響が懸念されれば、届出を義務付け、掲示などで周知することが望ましいとされています。

管理組合が工事中の影響を事前に把握する意義は大きいです。工事の影響が予め共有されていれば、苦情やトラブルを未然に防ぎやすくなります。届出によって工事内容や期間、搬入出経路を把握し、掲示によって住民への配慮ができるようになるほか、工事の進捗や影響を可視化することで信頼関係の維持にもつながります。

工事の種類届出・申請の要否留意点
クロス貼り替え・塗装・カーテンレール設置など 届出のみ(軽微な工事) 資材搬入や音への配慮、事前周知が望ましい
フローリング貼り替え・設備交換・配管変更など 理事会の承認が必要 設計図・仕様書・工程表など提出、影響調査が必要
資材搬入時の共用部使用(軽微工事にも該当) 届出が必要 掲示や周知による他住戸への配慮が重要

工事が軽微であっても、届出によって事前に管理組合と情報を共有しておくことで、住民間の配慮が行き届き、トラブルを回避することができます。また、必要な工事には申請・承認の手続きを怠らず、規約に則った対応を心がけることが大切です。

承認を得ずにリフォームを行った場合のリスク(規約違反時の対応と責任)

管理組合の承認を経ずに専有部分のリフォームを実施した場合、まず問題となるのは明確な「管理規約違反」です。多くのマンションでは、専有部分であっても、壁の撤去や床材の変更などの工事はあらかじめ理事長への申請や理事会の承認を得ることが義務付けられています。そのルールを無視して進められた工事は、契約違反にあたるばかりか、〈区分所有法〉に抵触する場合もあります。たとえば、耐力壁の破壊や配管損傷、騒音発生などがそれに該当します。こうした行為は共同の利益を損なう行為とみなされ、法的な判断対象となることがあります。

管理規約違反が確認された場合、理事長は〈勧告・指示・警告〉、さらには「工事の差止め」や「原状回復」を求める措置を講じることができます。理事会や理事長による調査の結果、申請内容と異なる工事が実施されたと判明すれば、速やかに是正するよう求められます。場合によっては裁判所から原状回復の命令が下されることもあるため、リフォーム費用が無駄になり、さらに元に戻すための追加費用が発生するリスクもあるのです。

リスクの種類内容
工事中止・原状回復命令承認なしの工事を中止し、元に戻すよう命じられる構造壁の撤去が発覚し、裁判で復旧命令
損害賠償請求工事による漏水や騒音により他住戸へ損害が生じた場合、賠償責任を負う階下に水漏れし、修繕費や慰謝料を請求される
近隣関係の悪化・資産価値低下集合住宅内で信用を失い、孤立したり将来の売却で不利になる違反壁による売却時の価格下落

また、無断リフォームによって他の住人の信頼を失い、マンション内で孤立することも少なくありません。住民との関係が悪化すれば、総会や日常のコミュニケーションにも支障を来す可能性があります。さらに、違法状態が残っている不動産は、将来的に売却しづらく、価格が大幅に下落する、あるいは住宅ローンの審査が通らなくなるといった深刻な影響を及ぼします。

このように、承認を得ずにリフォームを行うことは、短期的な自由を得る代わりに、長期的に大きな損失やトラブルを招くリスクがあります。安心・安全で円滑な住環境を守るためにも、必ず管理規約に基づく手続きとルールの順守を徹底することが不可欠です。

まとめ

マンションの専有部分をリフォームする際には、管理規約によるルールを正しく理解し、事前に必要な手続きを踏むことが大切です。専有部分と共用部分の線引きや、標準管理規約第十七条で定められる申請の流れ、届出が必要かどうかの判断基準など、事前に把握しておくべき内容は多岐にわたります。承認を得ずに工事を行うと、規約違反となり是正が求められる場合もあるため、慎重な対応が求められます。安心してリフォームを進めるためには、管理規約を確認し、適切な手順を踏むことが不可欠です。

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