不動産の買取再販とは?不動産仲介業との違いとメリットを解説

不動産の買取再販とは?不動産仲介業との違いとメリットを解説

土地や建物を売却する方法はさまざまあるものの、どの手段が最適か悩む方は多いです。
築年数の古い物件は購入希望者が見つかりにくい可能性がありますが、最近では業者が買い取ってリフォームした物件を再販する方法が効果的であるとして注目されています。
本記事では、不動産の買取再販とは何かお伝えしたうえで、仲介業との違いと利用するメリット・デメリットを解説します。

不動産の買取再販とは

不動産の買取再販とは

土地や建物の買取再販とは、宅地建物取引業者が中古物件を買い取って、自社でリフォームやリノベーションをしたうえで販売活動(再販)をおこなう方法です。
買取再販住宅は、土地や建物の販売ノウハウを熟知した専門家たちが中古物件を効率的かつ効果的に手を加える事業形態として定義されるケースも多いです。
業者が買取をしてからリフォーム・リノベーションをした物件を買取再販住宅とも呼ばれます。
これから土地や建物の売却を検討している中で「中古物件は、安易にリフォームやリノベーションをしないほうが売りやすい」とアドバイスされた経験を持つ方は多いです。
中古物件を購入する方の多くは「安く物件を取得してご自身の好みに手を加えたい」と考えています。
購入希望者が現れないかもしれないからとの理由で安易にリフォームをしてしまうと、費用が高くつくだけでなく、購入希望者の好みとマッチしなければ検討してもらえません。
つまり、無計画に進めてしまうと、高いリフォーム費用をかけても売却成功率が上がるとは限らないため、個人での売却では手を加えないほうが良いと言われています。
ちなみに、リフォームとリノベーションの違いについて、明確な定義付けはされていません。
一般的には、設備の入れ替え・壁紙や床の貼り替えなどをおこなって、中古物件を新築物件に近い状態まで手を加える作業をリフォームと呼びます。
一方で、劣化や不具合などが目立つ部分的な原状回復や、ライフスタイルに合わせた間取りや刷新生活のための機能を向上するための作業をリノベーションと呼びます。
ふたつの違いを明確にするのであれば、工事の規模や内容で区別しましょう。
買取再販住宅でおこなわれるリフォームやリノベーションの規模や内容は、該当物件の築年数の古さや状態によって異なります。
築年数の浅い物件であれば簡単なリフォームで済む可能性がありますが、築年数が40年を越えるものであればフルリノベーションしてから販売活動に進む可能性が高いです。
また、最近の物件ではバリアフリー・省エネ・耐震補強なども物件選びの項目として注目度が高いため、足りていない性能があれば補強対象になります。
つまり、本来の業者は中古物件を「売る」作業をしていましたが、買取再販となると「買う」「造り変える」「売る」の作業が加わります。

不動産仲介業との違い

不動産仲介業との違い

不動産仲介業との違いは、役割とリスクです。
仲介業は、中古物件を売却したい売主から依頼があると査定をして媒介契約を結んでから販売活動に進み、購入希望者が現れれば売買契約と引き渡しの手続きを仲介する役割を持ちます。
売主は、物件を購入したいと考える買主が現れない限り売却できないため、業者は広告・販売活動・価格交渉など専門的な知識が必要な作業を代行します。
一般的には売主側は「できるだけ高く売却したい」と考えており、買主側は「できるだけ安く購入したい」と考えるでしょう。
そのため売主から売却依頼を受けて土地や建物を査定してから決める売り出し価格に対して、購入希望者から値下げ交渉を持ち出される可能性もあります。
マッチングを成立させるためには、双方の希望条件に耳を傾けながら、こまめなやりとりが必要です。
買取再販業は、中古物件を売却したい売主から該当物件を直接買い取り、必要に応じてリフォーム・リノベーションをおこなってから自社の物件として販売活動をおこなう役割を持ちます。
中古物件の買取をするまでは売主とやりとりをして、物件の取得が完了してからはリフォーム・リノベーションの専門業者とやりとりをして、販売活動が始まったら買主とやりとりをします。
売主と買主の仲介役を担う業務はなくなるため、売主も買主も業者と直接交渉が進められて、やりとりの手間は軽減される点が特徴的です。
ただし、業者は中古物件の販売活動のほかに買取とリフォーム・リノベーションの作業が加わるため、作業しなければならない項目は増えます。
物件を安価に取得したいからとの理由で中古物件を探している方が多いため、該当物件の抱える欠陥や不具合を的確に見極めて必要な手を加えなければなりません。
一般的な仲介業とは少し異なる知識や実績が必要になります。
続いてリスクに関しては、仲介業は物件の所有や管理に関するリスクはないものの、買取販売業は買い取った不動産の売買契約が成功しなければ売れ残り物件として負債につながります。
そのため、必ずしもすべての不動産が買取再販を利用できるのではなく、業者が査定をしたうえでリフォーム・リノベーションをしてから売却できると判断したもののみが利用可能です。
買取再販を希望したものの、業者から断られた場合は、媒介契約を結んで仲介業を依頼しましょう。

買取再販業者に不動産を売却するメリットとデメリット

買取再販業者に不動産を売却するメリットとデメリット

買取再販業者に不動産を売却するメリットは、現金化までのスピード・契約不適合責任の対象外・内見対応がない点が挙げられます。
まず、通常の仲介取引で不動産を売却するのであれば、査定・媒介契約の締結・売出価格の決定・広告の掲示・売主との交渉・売買契約の締結・引き渡しなど作業が多いです。
一方で買取再販をすれば、業者に査定をして買取価格が決まれば、すぐに契約をして不動産の引き渡しと入金が実現します。
まとまった資金がすぐに必要で不動産売却を検討しているのであれば、スピーディーに現金化できる買取再販がおすすめです。
また、個人の買主と売買契約を結んだ場合、事前に通告しなかった不都合やトラブルに対して契約不適合責任が問われるリスクがあります。
どんなに高額取引ができたとしても後から修繕費等を請求される可能性がありますが、業者が相手の取引であれば後からトラブルが発覚しても責任を問われる可能性が低いです。
最後に、現在住んでいる家を仲介業で販売するとなれば、購入希望者の第三者の内見に対応しなければならず、部屋の掃除や受け入れの準備が必要です。
その点、買取再販を利用すれば、リフォーム・リノベーションされる前提のため内見ほど入念な準備は必要ないため負担が軽減されます。
買取再販業者に不動産を売却するデメリットは、相場より低い売却料金・契約書の細かな条件が挙げられます。
まず、仲介業と比べると買取再販業での取引は、市場価格を下回る買取価格になる可能性が高いです。
業者は、リフォーム・リノベーションにかかる費用や販売活動費を加味したうえで価格を決めるため、必然的に相場以下になります。
また、個人間での取引ではなく個人と事業社の取引になるため、契約書に細かな条件が追加される可能性があります。
必ず業者から説明があるため、話を聞いて分からない項目は確認しておきましょう。

まとめ

不動産の買取再販は、業者が中古物件を買い取ってリフォーム・リノベーションをしてから再び販売活動をおこなう方法です。
一般的な仲介業と比べると取引価格は市場相場を下回りますが、売主の立場としては、売れ残りの心配がなくスムーズに現金化が実現できます。
すぐに不動産を売却して現金化したい方や引き渡し後に責任問題を問われる不安を抱いている方は、買取再販業の検討をおすすめします。