
【静岡県の不動産市況】地価上昇の裏に潜む「二極化」と「買い控え」のリアル
記事の概要と調査の背景
この記事は、静岡県内の不動産市場がどのような状況にあるかを示す「不動産市況調査」の結果を報じたものです。
調査実施機関:静岡県不動産鑑定士協会、静岡県宅地建物取引業協会。
調査対象と時期:2025年10月1日時点。県内の全11地域にある不動産業者1,000社を対象とし、507社が回答しました。
調査項目:「地価動向」「分譲地等」「マンション販売」「仲介」の4項目について、業者の「実感」と「予測」を尋ねています。
記事から読み取れる3つの重要ポイント(解説)
1. 全体としては地価上昇傾向(DI値の上昇)
半年前と比較した地価動向のDI(判断指数)は「プラス9.2」となり、前回の4月調査を1.8ポイント上回りました。
DI(ディフュージョン・インデックス)とは? DIとは「不動産価格が上昇している」と答えた業者の割合から、「下降している」と答えた業者の割合を引いた数値です。プラスであれば市場全体が「上昇傾向」にあると感じている人が多く、マイナスであれば「下落傾向」にあると感じている人が多いことを示します。
記事によれば、「上昇」と回答した割合が30.7%、「下降」が15.4%となっており、全体としては地価が上がっていると実感する業者が多いことが分かります。
2. 鮮明になる「二極化」(都市部の上昇と地方の下落)
全体の数値はプラスですが、地域によって状況が大きく異なる「二極化」が鮮明になっているのが最大の特徴です。
上昇している地域(都市部とその周辺) 静岡(プラス21.7)や浜松(プラス2.4)といった都市部での伸びが目立っています。また、その都市部に隣接する志太(プラス1.1)や中遠(プラス3.3)にも、上昇傾向が波及しています。
下落している地域(沿岸部・山間部) 一方で、榛原(マイナス2.4)や東・南伊豆(マイナス12.0)、伊豆・田方(マイナス7.1)など、沿岸地域や山間部では下落幅が大きく、歯止めがかかっていません。
3. 建築費高騰による「住宅需要の冷え込み」
地価自体は都市部を中心に上がっていますが、「分譲地」や「マンション」、そして不動産売買の「仲介」の動向は厳しい状況にあります。
背景にある要因:建築費が高騰していることが大きな原因です。
影響:土地の値段(地価)も上がり、建物を建てるコスト(建築費)も上がった結果、都市部では物件価格が高くなりすぎてしまい、一般の人が購入しにくくなっています。これが住宅需要の低下を招き、分譲地やマンションの下落、仲介件数の大幅な落ち込みに繋がっています。
今後の見通し
半年後(2026年4月)の予測についても、今のトレンドが続くと見られています。つまり、「都市部やその周辺地域では地価が上昇し続け、過疎地や山間部・沿岸部では下落し続ける」という二極化の傾向が継続する見通しです。
この記事は、単純に「地価が上がって不動産市場が好調」というわけではなく、一部のエリアに需要が集中する一方で、実需(実際に家を建てて住むための需要)は価格高騰についていけずに冷え込み始めているという、非常にリアルでシビアな現状を伝えています。
